お問い合わせはこちら
(平日10:00~16:00 土日祝休業)
日本の山旅 登山バス 国内旅行 風来人03-6265-6966
世界の山旅03-6265-6953 海外旅行03-6265-6952

まいたびブログ

毎日新聞旅行(東京)「まいたび®」公式ブログです。
国内・海外登山、講師同行「風来人」などツアーの添乗記やトピックス、「旅」の素晴らしさをご紹介するなかで、
旅を楽しむ心がふんわり広がっていく、そんなことを夢見ています。

安心安全富士登山教室2025 ステップ5(富士山1~5合目)

2025年6月10日

富士山の麓(ふもと)と5合目を結ぶ富士スバルラインが開通したのは1964年4月のことだ。バスなどで快適に登れるようになり、5合目の観光地化が進んだ。
一方、古来から歩かれていた吉田口の馬返(うまがえし)~5合目の登山道は歩く人が減り、荒廃が進んだ。点在していた茶店は風雨にさらされ、廃屋となった。更地になった場所もある。しかし、最近はこの古道に光が差し始めている。一昨年、地元の富士吉田市が、信仰の道として再興するというニュースが流れた。いま登ると、多くの登山者やトレイルランナーに出会う。静かに歩ける登山道との評価もあり、復権は着実に進んでいるといえるだろう。
 「まいたび(毎日新聞旅行)」の初心者向け登山教室「安心安全富士登山2025」もステップ5を迎え、いよいよ富士山1~5合目に挑戦することとなった。

 「準備はできましたか。出発します」。5月28日午前10時過ぎ、1合目の手前にある馬返に、渡辺四季穂・登山ガイドの元気な声が響いた。参加者16人はうなずいて、ガイドの後ろに続いた。馬返には、茶店「大文字屋」がある。水など登山に必要なものはここで購入できる。大文字屋のご主人が「いってらっしゃい」と見送ってくれた。スミレが咲く樹林帯を進む。

先頭を歩く渡辺ガイド.jpg

                    先頭を歩く渡辺ガイド

富士山に咲くスミレ.jpg

                    富士山に咲くスミレ

さわやかな風が吹いた。「気持ちいいですね」と渡辺ガイドが話しかけた。一合目、二合目、三合目と順調に歩き続けた。標高2000㍍近くなると傾斜が急になってきた。参加者の額に汗がにじむ。「踏ん張りどころですよ」と激励の声が飛んだ。

木々の間から富士山山頂付近が見えた.jpg                   木々の間から富士山が見えた

午後2時過ぎ、5合目の山小屋・佐藤小屋に到着した。壁の寒暖計は11度を指していた。「大分ひんやりしていますね。1枚はおりましょう」と話した後、一行は終着点のスバルライン5合目に向かった。

 月が替わった6月6日、28人の参加者が同じコースを歩んだ。1班14人の先頭を石井啓太・登山ガイドが歩いた。「江戸時代に一番にぎわったのがこの道です」と語りかけて、午前9時50分過ぎに馬返を発った。晴天で日差しも強い。「風がないと空気がまとわりつくようですね」と汗をぬぐった。かつての溶岩流が冷えて岩場となった場所で、岩場の歩き方を説明した。「狭い場所に足を置いても、かかとが上がらないように」「前かがみにならないように」とアドバイスした。

参加者を率いる石井ガイド.jpg                  参加者を率いる石井ガイド

 休憩になると、参加者たちはザックからパンなどの行動食を取り出して、食べ始めた。その様子を見ていた石井ガイドは「休憩と伝えると、みんな食べ始めます。もう立派な山の人ですね。成長著しい」と目を細めた。5合目が近づくと、木々の間から山頂方面が見えた。「1番上に見えるのが山頂です。すぐ近くでしょう」と話すと、参加者からは大きな笑いが起きた。一行は午後2時35分、ゴールのスバルライン5合目に到着した。

開山を待つスバルライン5合目の馬たち(6月6日).jpg

              開山を待つスバルライン5合目の馬たち(6月6日)

外国人でにぎわうスバルライン5合目(5月28日).jpg              外国人でにぎわうスバルライン5合目(5月28日)

【毎日新聞元編集委員、日本山岳ガイド協会認定登山ガイドステージⅡ・小野博宣】
 ●筆者プロフィール●
 1985年毎日新聞社入社、東京社会部、宇都宮支局長、生活報道部長、東京本社編集委員、東京本社広告局長、大阪本社営業本部長などを歴任。
2014年に公益社団法人日本山岳ガイド協会認定登山ガイドステージⅡの資格を取得。毎日新聞社の山岳部「毎日ハイキングクラブ」前会長