さて、小豆島も3日目。運転手さん曰く、小豆島だけで3泊もするツアーはないとのこと。思わず、そうなんですか?と。
小豆島は意外と低山があって私たちのような団体にはとても魅力的です。どこに登っても海が見えるし、食事も美味しい。同じようなツアーばかりじゃ面白くないですよね?
そんな小豆島で、この日は瀬戸内海最高峰といわれる星ケ城山へ。星ケ城へは紅葉で有名な寒霞渓のロープウェイを使いました。5分ほどであっという間に山頂駅に到着。ロープウェイの終点には、かつて有名になった"1億円のトイレ"がありました。建設された1990年当時は最新鋭だったのでしょうが、今では意外と普通でした。実は1億円のトイレというのは、福岡や奈良の山あいにもあるようです。
トイレの話題はこのくらいにして、私たちのツアーはのんびり低山ツアーなので、ここから星ケ城の山頂へと歩きました。 星ケ城への道
星ケ城の山頂は、戦国時代の遺構が残る山でもありあります。ロープウェイなどない時代にどうやってこんな場所まで来ていたのだろうと往時の武将や人々の生きる力に驚かされます。
登山道は整備もされていてとても歩きやすく、道幅も十分な広さがあり、緩やかに登りながら山頂へ。南東方向に大きく開けた山頂から瀬戸内海が黄砂にかすみながらも見えました。高松から小豆島まではフェリーの航路で22kmほど、四国本土までも見えない距離ではありませんが、この日は春の黄砂で空はなんとなくぼんやりとしていました。
星ケ城山頂(東峰)
平日の混まない山頂からの景色を楽しんだ後は往路を戻り、山を下ってお昼の場所へ。
小豆島のオリーブ栽培で有名な井上誠耕園さんが営むレストラン。オリーブと言えば、やっぱりイタリアンははずせないですね。井上誠耕園さんの美味しいオリーブを使って作られたパスタとピザでこの日の小豆島を満喫しました。
食事の後に向かったのは、中山千枚田。農村歌舞伎が伝わる小豆島の山間部にその棚田はあります。
中山の農村歌舞伎は、今から300年ほど前の江戸中期に伊勢にお参りにいった人々から伝わったとのこと。毎年10月中旬には舞台を開けて歌舞伎が実演されています。
舞台の中を見ることはできませんが、春の訪れを告げる土筆があぜ道ににょきにょきと顔を出す中をのんびり散歩して棚田の景色を楽しみました。こんなところでもやはり歩くからこそ見える景色があります。
中山農村歌舞伎の舞台
中山千枚田
そしてこの日最後は、小豆島でも3本指、いや最近では一番有名なスポット、エンジェルロードです。トンボロと呼ばれ、干潮の時に海の中から道が現れて陸側と沖にある島がつながる現象です。潮の満ち引きが大きく影響するので、引き潮の時間に合わせて訪れました。時間が限られているので、干潮に合わせて楽しみに来る観光客も多く、私たちが訪れた時間はまだ完全に潮が引ききってはいなかったため、何人かのお客さんとともに夏でもないのに裸足になって渡りました。裸足になることを躊躇している観光客をよそ目に裸足になって足をつけたものの、まだ春先なので水はとても冷たく、ずっと足が浸っているとかき氷を一気食べた頭痛のような感覚でした。それでも、せっかくの機会なのでと言い聞かせて覚悟して200mほど先の小島まで渡りました。エンジェルロードは恋人の聖地とも言われていますので夕暮れ時に見られれば、とても幻想的な光景なはずです。そんな人たちもたくさん来ていました。 干潮で現れるエンジェルロード
まだ水が冷たいエンジェルロードを歩く
足をキンキンに冷やした後、逆にポカポカと温まるのを感じながら時間的な余裕をもってホテルへと向かいました。この時間的余裕も今回のツアーポイントであり、こだわりでもあるのです。訪問場所を詰め込んでいないので、ホテルでもゆっくりと時間が過ごせます。この日の夕方も瀬戸内海に沈む夕日が見られ、その光景を引き立ててくれる無料のシャンパンとともに、夕暮れの瀬戸内海の光風景を楽しむことができました。
夕食は、醤油の味比べの他、ホテルが自家栽培しているイチゴがなんと食べ放題!
なんでも値上がりする中で、甘い新鮮なイチゴが食べ放題はありがたい企画でした。
食べ放題のいちご
翌日は、最終日。まず向かったのは、島の中央にある大観峰展望台と四方指展望台。
前者は寒霞渓を目の前に臨む展望台で、後者は本州や瀬戸大橋を望める展望台。
黄砂の影響ではっきりとは見えませんでしたが、瀬戸内海の島々と本州は見ることができました。どこから見ても海が見える小豆島ならではですね。
寒霞渓を望む大観峰展望台 本州を望む四方指展望台
次は、千年オリーブテラス。スペインから運んできた樹齢1000年のオリーブがある場所です。企業が所有しているため、有料での見学にはなりましたが、小豆島の地でしっかりと実を付けて育っていることに大きな価値があるようです。海を見渡す屋外のテラスからは、前日に歩いたエンジェルロードと島が見えてしました。
樹齢1000年のオリーブの木
その後は、当日変更で決めた道の駅大坂城残石記念公園。大阪夏の陣で落城した大坂城を修築する際に切り出され、使われることなく放置された約40個の残石が残る道の駅を兼ねた公園です。大阪城の再建になぜ小豆島の石が使われたのか、その歴史を調べてみるととても興味深いものです。重機などない時代に徳川幕府からその忠義を試されるかのように主に外様大名が石を求めて奔走していたようです。徳川幕府の権威の強さと同時に、石を切り出して運ぶ道具や技術が高さを感じる場所でした。
大坂城残石記念公園
残石公記念公園は海のすぐ近く
石を切り出すための道具
自然の他にも歴史を感じた後は、いよいよ最後の訪問地。宝生院のシンパクです。
シンパクはヒノキ科の植物で、このお寺にあるシンパクの樹齢はなんと1600年。
気が遠くなるほど長生きをしていて、目にした時はその巨大さに本当に圧倒されました。樹木という概念を超えるような大きさと迫力。明らかに想像以上の大きさで、おもわず、でかすぎる!
国の天然記念物に指定されている非常に貴重な存在です。最後に小豆島の印象を強烈に残す素晴らしい巨樹との出会いになりました。
樹齢1600年の国指定天然記念物のシンパク
たっぷりとそしてゆっくりと小豆島を満喫して、復路の高松まではフェリーに乗船。ゆっくり滑るように進むフェリーの甲板から遠ざかる小豆島と瀬戸内海の海をのんびりと眺めていました。
「太陽の贈り物」
小豆島を後にする 穏やかな海を滑るように進むフェリー
今回はちょっと珍しい小豆島だけで3泊のツアー。登山ツアーではあるものの、山に終わらずその地域の魅力を感じてもらうことが今回のツアーの目的でした。そのために同行した私たちもしっかりと事前にいろいろと調べて、参加していただいた皆様に移動のバス社内などでたくさん小豆島につてお話をさせていただきました。知らなかった小豆島とこんな形のツアーにも魅力を感じてもらえたらうれしい限りです。
冬から春にかけて低山と地域の魅力を味わうツアーをまた企画しますので、一緒に楽しみましょう。
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10月13日(月)発 伯耆大山と蒜山 中国地方を代表する山、"だいせん"へ
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